生成AIの回答精度を高める秘訣は「考え方の枠組み」にアリ!思い通りの答えを引き出す「プロンプト」の書き方を徹底解説
プロンプトの新しい書き方を徹底解説
生成AIを活用する際、思い通りの答えを得られずに悩んだ経験はありませんか?
その理由のひとつは、AIに「命令」ばかりを与えてしまうからです。
従来の方法では「命令・入力・条件・出力形式」といった形でプロンプトを区切ります。これは一見便利ですが、AIを単なる作業者にしてしまう危険があります。
そこで注目したいのが、AIに「どう考えるか」という枠組みを渡すアプローチです。
枠組みを渡すとはどういうことか
人間に説明を頼むとき、「ただまとめて」と言うよりも、「定義して → 例を出して → 最後に一言でまとめて」と伝えた方が、わかりやすい答えが返ってきます。
同じようにAIに対しても、目的・評価基準・出力形式・思考の流れを設計して提示することが重要です。
このAIに伝える新しいプロンプトの方法を、私はTAL (Tree-structured Assembly Language)と命名しました。
特にTALでは考え方の枠組みである「z軸(思考の軸)」が中核を担っています。
これはTALにおける5つの思考視点を指し、AIに「どう考えるか」を教えるための設計図の役割を果たします。
- Structure(構造): 論理の骨組みを整える
- Function(機能): その答えの役割を明確にする
- Experience(経験): 過去の知識やパターンを活かす
- Contextual(文脈): 今の状況や対象に合わせる
- Temporal(時間): 時系列や持続性を踏まえる
具体例①: 要点を箇条書きで出力する
以下のようにプロンプトを設計します。
original_prompt(元の問いかけ): |
次の文章をわかりやすくまとめてください。
(ここに長文を入力)
goal: |
抽象的な内容を、中学生でも理解できる要点に変換する。
evaluation_criteria:
- 簡潔でわかりやすいこと
- 重要な点が抜けていないこと
output_format: |
箇条書きで整理する
z_axis:
Structure:
- 定義を簡単に言い換える
- 例を追加する
- 最後にまとめを書く
Function:
- 読み手の理解を助ける
- 情報を整理する
Experience:
- 既存の要約の型を活用する
- 過去の知識や定番の流れに基づく
Contextual:
- 対象は中学生
- 学習用途を意識
Temporal:
- 現代的な解釈を優先する
- 必要なら歴史的な視点も補足する
解説
従来の「要点を箇条書きにせよ」という命令は、AIにとってただの作業指示にすぎません。
しかし上記のように「目的」「評価基準」「z軸の5視点」を与えることで、AIは「なぜ」「どういう考え方で」答えるのかを理解できるようになります。
その結果、単なる要約ではなく、読み手に寄り添った説明が生まれます。
具体例②: 音声入力を整える
次のように枠組みを提示します。
original_prompt: |
あなたは音声入力された文章を整える役割を担います。
(ここに音声入力データや議事録を入力)
goal: |
口語的な発話を、読みやすく正しい文章に変換する。
evaluation_criteria:
- 感嘆詞や言いよどみは削除する
- 誤字や助詞の不自然さを修正する
- 元の意味を変えないこと
output_format: |
自然な日本語の文章に整える
z_axis:
Structure:
- 文を区切り、句読点を補う
- 不要な言葉を削除する
Function:
- 読み手がスムーズに理解できるようにする
Experience:
- 過去の議事録整形のパターンを再利用する
Contextual:
- 会議の記録として使うことを意識する
Temporal:
- 現在の出来事を「未来の参照可能な記録」として読み返せるように再構成する
- 単なる整理ではなく、長期的な価値を持つ形にする
解説
従来は「条件」として羅列していたものを、TALでは「評価基準」と「思考の視点」に分けて示します。
これによりAIは単なる文章修正ではなく、「未来に読み返せる記録としてどう整えるか」という視点まで考慮できるようになります。
まとめ
生成AIの力を引き出す鍵は「命令」ではなく「思考の枠組み」を与えることにあります。
特にz軸の5視点(構造・機能・経験・文脈・時間)を提示することで、AIはより人間的で創造的な思考を展開できるようになります。
命令型のプロンプトから、枠組みを設計するプロンプトへ。
これがTALが提案する、新しいAIとの向き合い方です。
※公式のTALはJSONで記述しますが、YAMLやマークダウンで記述しても構いません。
※TALについての詳細情報は👉️「公式ページ」から。
※TALの論文はZenodoに掲載しております👉️「Transforming Commands into Structured Thinking: TAL, an OS Framework for AI Reasoning」。
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