甘じょっぱい常識を壊せ──湖池屋、辛旨で挑んだ逆転劇

湖池屋
スナック戦争の主役はカルビーだった。
圧倒的な資本と流通網。売上シェアは7割超。
湖池屋は二番手として埋もれるはずだった。
だが一社は逆を行った。
“和の味”で、そして“辛さ”で。
その挑戦は笑われた。けれど、のり塩とカラムーチョは市場を揺さぶり、時代を変えた。
最初の勝負は「和の味」をポテチに翻訳した瞬間から
1962年、「のり塩」が生まれる。
アメリカ生まれのポテトチップスを、日本の食卓に落とし込む試みだった。
〈消費者の声〉
「海苔の香りがするポテチ?不思議なのに手が止まらない」
輸入菓子から国民食へ。湖池屋は“和”を差し込むことでポテチを文化に変えた。
カルビーが「全国民の味」を作るなら、湖池屋は「日本人の舌」に賭けた。
だが、真の勝負はここからだった
1984年、「辛いスナックは売れない」と囁かれていた時代。
湖池屋は常識を逆走する。「カラムーチョ」。
唐辛子だけでなく、肉や野菜の旨味を重ねた“辛旨”。
ただ辛いのではない。クセになる設計だった。
そして、このコピーが時代を射抜く。
「ポテトが辛くてなぜ美味しい」
〈社員の声〉
「笑われてもいい。この一手に未来を賭けた」
〈消費者の声〉
「痛い。でも手が止まらない」
その挑戦は、40年後も売上を伸ばし続け、海外でも主役になるロングセラーとなった。
だが尖りは一発屋では終わらない。“参加”が次の武器になる
2010年代、湖池屋は消費者を巻き込んだ。
SNS投票でカラムーチョの味を決める。コメダ珈琲とのコラボも話題を呼んだ。
〈若者の声〉
「自分の推し味が商品になった!」
広告を流すのではなく、ファンと一緒に物語を作る。
湖池屋は“語られる会社”になった。
さらに、辛さは国境を越え始める
台湾のコンビニに並ぶ赤い袋。
カラムーチョは「日本の辛旨」として受け入れられ、今や海外売上の多くを占める。
〈海外バイヤー〉
「辛いだけじゃない、“旨い辛さ”が橋になる」
カルビーが国内で王道を築く間に、湖池屋は辛旨で世界とつながった。
だが挑戦は、辛さだけでは終わらない
2016年、湖池屋はロゴを刷新。
「湖池屋プライドポテト」を打ち出す。
国産じゃがいも100%。製法を語れる商品。
“安くて大量”のゲームから降り、“高くても選ばれる”道を選んだ。
〈小売の声〉
「湖池屋は“特別な日のお菓子”を作った」
コモディティの呪縛から逃れた瞬間だった。
そして企業の背骨に刻まれたのは、サステナと国産だった
新じゃがキャンペーン。
旬の芋を届けるだけでなく、産地を可視化する。
〈農家の声〉
「ポテチが“うちの芋だ”と誇れるようになった」
サステナはCSRではなく、ブランド資産。
湖池屋は袋の中に“物語”を仕込むようになった。
湖池屋の本質とは何か?
のり塩。カラムーチョ。すっぱムーチョ。プライドポテト。
湖池屋は、常に常識の真横に道を引き、定番を更新してきた。
学びの一文:「逆張りは、一度の花火ではなく、定番を塗り替える仕組みである」。
あなたの会社にも、“カラムーチョ”のように常識を裏切る一手は眠っていないだろうか?
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